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アームチェアの張替修理 / 2013.06.12

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After

work commitment仕事のこだわり

椅子の形も美しく、座った人を象徴させるような優美なデザインのアームチェア。こちらの椅子は良く座られていたようで革の傷みも相当でしたが、フレームがぐらぐらに緩み、内部のバネやクッション材も傷み、座ろうにも「恐る恐る」という状態でした。この椅子の修理は、フレームの組み直し、バネ床、詰物を新調、塗装修理、革の張替えを施し新品に近い状態に復旧させました。
ここではフレームの修理について説明をしたいと思います。木製のフレーム(骨格)は経年や温度変化、湿度変化などによって僅かずつですが痩せていきます。すると継ぎ手部分がお互いに痩せ、座った時の加重や振動で接着が外れ、ぐらつきが始まります。ところが写真でも分かるように継ぎ手部分は何カ所もあり強度を支え合っているためぐらぐらな状態に至るには時間がかかり、ダメージの発見が遅れる事になります。

弊社の修理の場合、全ての継ぎ手を外して部材の状態まで分解し、ヤスリなどで古い接着剤を除去し、エポキシ樹脂接着剤で組み立て直します。 水性や溶剤系の接着剤は硬化時にその水分や溶剤が揮発し接着剤そのものが痩せて(体積が減って)いきますが、エポキシ樹脂は化学反応で硬化するため揮発性分がなく木材との相性も良いため、修理の耐久性が抜群に良いのです。ここで注意するのが4本の脚がぴったり設置するように定盤の上で組み立てる事です。くるった(歪んだ)状態で接着剤が硬化してしまうと取り返しがつきません。
頑丈なフレームが出来てこそ、その後の作業が正確に施せ、後の耐久性に繋がります。 椅子は人が乗る家具なので経年劣化は避けられないのですが、きちんと作られた家具は傷みが出ても適切な修理を加える事により、ほとんどの製品が一生モノと考えていただいて良いでしょう。 「使い手」も「作り手」も大切に扱う事によって、ますます愛着の家具となりエコロジーに繋がるものと思います。

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